記録収集家のみなさん、この記事が発表された数日前にドイツの風力発電は新たな記録を打ち出しました。念のために言っておくと、この記録はひどく停滞したその月の前半の後で生まれました。月間の概観から、天然ガスと輸入電力の間に大きな相関があることが明らかになりました。
Fraunhofer ISEのグラフによると、ドイツの風力発電は2014年12月12日(金)午後1時頃に29.49 GWのピークを迎えました。これまでの記録は2013年12月5日の約26 GWでしたが、風力と太陽光をあわせた記録(2014年4月14日の37.8 GW)は破られていません。当日はわずかな太陽光しかなかったためです。ドイツでは第2四半期の終わりの時点で合計約35 GWの風力発電設備がありました。ということは、これらの風車は数日間で、設備容量の約80%で発電していたことになります。
さらに、このグラフは、新記録を樹立した期間に1 GWに満たない日が何日間もあったことを示しています。これは設備利用率が5%を著しく下回っていることに相当します。たしかに、12月の風力発電はゆっくりとスタートしました。
12月13日(土)の夜までのグラフを見てみると(以降のデータは未更新)、面白いことがわかります。輸出電力を除外すると下部のベースロード電源のグラフは、より平らになります。それを踏まえると、どのように影響を受けたかがわかります:下部の紫色の部分が輸入電力です。
今のところはまだベースロードに大きな影響はないように思えます。しかし、グラフの真ん中、オレンジ色で示された天然ガスが40GWを下回っているあたり(12月8日付近)に、石炭と原子力の発電量の落ち込みが見られます。それでなければ、石炭と天然ガスがもっとも大きな発電量を占め続けます。しかし、天然ガスについてより詳しく調べてみる価値はあります。輸出電力を加えて見てみましょう。
ここで、輸出電力の時間と巨大な天然ガス発電の時間のはっきりとした相関を確認できます[1]。繰り返しますけれども、風力および太陽光発電の余剰電力を輸出しているように読み取れますが、ドイツで自然エネルギーの余剰電力が出たことはいまだかつてありません。このグラフでは、例えば、風力および太陽光発電(ほぼ風力が占める)は、どの時点においてもドイツの電力量の半分すら生み出すことはできていません。(ということなので、ドイツの電力量の半分が風力発電によってまかなわれているといったミスリードには十分気をつけてください)
[1] 翻訳註:輸出電力が発生するとき、天然ガスの発電量は小さくなっている。
電力貿易の基盤となるのはむしろ価格であり、物質的な需要ではありません。月のはじめに天然ガスは15GWを上回る電力を生み出し続け、ドイツは電力を輸入しはじめました。1週間の稼働を通して(グラフの右へ向かうにつれて)、天然ガスは半減し終わり頃には5GW近くにまで下がっています。
本質的には、ドイツが天然ガス設備増加の必要に迫られる頃には、その価格は近隣国より下がっていることでしょう。EPEXでの前日オークション価格を見ると、実際にフランス、ドイツ、スイスの電力価格はすべて12月3日頃、60台後半(Euro/MWh)に達しています。
元記事:Renewables International, “New wind power record in Germany”(2014年12月15日)ISEPによる翻訳