CarbonBrief

英国の野鳥保護グループが再生可能エネルギーについて言及

2016年7月11日

良いニュースと悪いニュースです。良いニュースは、英国には現在のエネルギー消費と比べて、自然保護の条件を考慮しても、数倍もの再生可能エネルギーのポテンシャルがあることが明らかになったことです。悪いニュースは、英国人はなかなかエネルギー効率とエネルギーデモクラシーに考え方を転換することができていないことです。

ここで紹介する英国の再生可能エネルギーに関するニュースは、気の弱い人には向いていません。英国王立鳥類保護協会(Royal Society for the Protection of Birds, RSPB)が自然環境を考慮した再生可能エネルギーのポテンシャルを調査した最近の報告「エネルギービジョン:英国の気候目標達成と自然との調和」を見てみましょう。カーボンブリーフは、生ぬるい大雑把なレビュー記事(報告書へのリンクすら貼っていない)で報告書を紹介していますが、著者は、環境主義(Environmentalism)における本質的な葛藤さえ理解していない不勉強さです。常に影響はあるのです!(家で猫を飼っているバードウォッチ愛好家は日々の生活の中で問題を体感しています)

風力発電の議論に加わるすべての鳥類保護活動家に関して、いつも問題は特定のプロジェクトに対する反対意見が根本的な反対意見を代表しているのか、もしくは論点が多くのケースで正当化されるのか、ということです。カーボンブリーフの記事はこの疑問に答えておらず、その代わりにRSPBが「歴史的に風車と対立的な関係にあった」と非難した上で、RSPBが最近彼らの本部に風車を建てたことを指摘し、テレグラフ誌の馬鹿げた主張に囚われています。明らかに、このジャーナリストは、RSPBの風力に関するスタンスについての最終判断を私たちに投げ出してしまっています。外国人の読者として、私がもう少し分析をしてみましょう。

アメリカの風力発電推進活動家ポール・ガイプ氏は、何年も前にRSPBの風力発電への支持について書いています。風車に対する懸念を鳥類保護活動グループが公表することは悪いことでも、おかしなことでもなんでもないのです。実際、それらは彼らの仕事でもあります(こちらを参照)。彼らのウェブサイトを見れば、RSPBのポジションはこの問題に関してかなり明らかに感じられます。もしもっと詳しいことをご存じの方がいればコメントをお願いします。

カーボンブリーフの記事には欠点がありましたが、この記事にはRSPBの主張をまとめた良い図表が紹介されています。これは報告書にはなかったものです。

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上の図は、英国の2014年の総エネルギー消費量が再生可能エネルギーのポテンシャルの半分ほどであることを示しています(この図は電力だけではなく、総エネルギーを示しています。またもっとも重要なことが記されていませんが、この図は最終エネルギー消費であって、1次エネルギーではありません。)。また、この計算では洋上風力を利用した場合のみ、英国は十分な再生可能エネルギーを持っていることになります。実際には、この図はその他の再生可能エネルギーはすべて忘れて洋上風力を推進すべきということを示しているのです。

誰か、英国人に、ドイツ人は英国と同程度の風況を切望していることを伝えていただけないでしょうか。もうひとつのカーボンブリーフの記事でも、スコットランドの33%に比べて、イングランドとウェールズの新規設置の設備利用率が30%しかないために、英国人はイングランドとウェールズに風車を建設することに興味がないことが記されています。ドイツのそれは25%です。イングランドとウェールズに風車を建設するべきです。

また、風力発電所の立地の分析をたった1つの数字に落としこむことはできません。通常、それはLOCEと呼ばれる指標になりますが、英国では設備利用率にフォーカスしているようです。この手法は、GDPというミクロ経済の罠にはまってしまいます。なぜなら、1つの数字を結果として示すことは、それがすべてを表すことを意味しないからです。転換(transition)にはマクロ経済的視点が必要です。まず、マネーフローが違いを生むことを明らかにしなければならないでしょう。所有(ownership)が重要であり、人々(people)はただの消費者ではなく、市民(citizen)でもあることを明らかにしましょう。私たちみんなにとって最も価値あるもの、健康、友好関係の質、地域コミュニティの活性度、家庭状況などは1つの数字で表現することは難しく、数字を用いるときは注意する必要があることを、私たちは覚えておく必要があります。

上図に関連したその他の誤解に、再生可能エネルギーが2014年の(最終)エネルギー需要のレベルを満たす必要はないということがあります。ドイツの再生可能エネルギー割合目標は60%に過ぎず、さらに下図に示すように、一次エネルギー消費の半減(最終エネルギー消費でもほぼ半減)も目指しています。

EnergyTransition.de
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もしこうした省エネ(例えば、内燃機関の代わりに電気自動車が普及し、再生可能エネルギーの余剰分を熱として使うこと)が実現されれば、上図でわかるように、陸上の再生可能エネルギーだけで原則的には英国の残りのエネルギー需要をまかなうことができます。

どうしてそれが重要なのでしょう?それは、(RSPBの本部に風車を設置した)Ecotoricityの創業者がテレグラフ誌の記事で語ったように、「グリーンエネルギーは、力(電力と政治的な力)を人々の手に渡すものであり、その技術によって私たちは英国のエネルギーシステムを民主化、分散化できるからなのです」。しかし、それには人々が自ら建設しなければならず、それは洋上風力ではできないからです。

残念ながら、英国は炭素にあまりにも注目する一方で、民主化を疎かにしているため、彼らには両者の関係が明らかになっていないように感じられます。RSPBの調査についてのカーボンブリーフの記事の下にあるコメント欄の議論は低レベルです。恥ずかしくなるようなコメントは1つではありません。私は、このウェブサイトがトロールの組織的な攻撃に晒されているためにこのような事態になっていることを願うばかりです。もう1つのオプションはあまりに味気ないものです。これが英国内のエネルギーに関する議論の見立てです。

クレイグ・モリス@PPchef

元記事:Renewables International “British bird protection group speaks out on renewables”(2016年6月7日)ISEPによる翻訳

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