ドイツでの再生可能エネルギー電力が記録的ピーク水準を達成した(やや誇張気味の)ニュースに加え、ポルトガルからも新たな連続記録が届いています。しかし、アメリカの専門家ポール・ガイプ氏は今回のゲスト寄稿で、年間に占める割合の方が重要であること、そして、ポルトガルは水力発電に大きく依存していることに気付かせてくれています。
最近のガーディアン紙ニュース記事によると、ポルトガルは4日間、全電力を再生可能エネルギーで作り出しているとのことで、私はポルトガルが全体としてどのようにうまくやっているのか改めて調査したいと思っていました。ポルトガルが4日間の電力を再生可能エネルギーだけで賄った(しかも停電することなく)ことは意義深い一方で、年間の電力消費量に占める再生可能エネルギーはどの程度なのかを知ることがより重要です。
年間の発電量を見ると1週間以下のスナップショットよりも温室効果ガスの総排出量がよくわかります。さらに、多くの人々がポルトガルの100%再生可能エネルギー電力の中心は風力発電であると考えているかもしれないことは、驚くべきことではありません。ただし、こうした考え方が一般的になったのはごく最近のことです。ノルウェーは2008年まで水力発電で100%の電力を作り出していました。そして、アイスランドは現在水力発電と地熱で100%の電力を作り出しています。
米国エネルギー情報局(EIA)がうっかり任務を怠ったことにより、2012年以降のポルトガルに関するデータはありません。そこで、APREN (ポルトガル再生可能エネルギー協会 Associação Portuguesa de Energias Renováveis)のウェブサイトにあるグラフから解釈しました。
APRENのグラフによると、ポルトガルは1年で約16.5 TWhを再生可能エネルギーから発電しています。降水量の多い年は、およそ15TWhを大規模な水力発電のみで作り出しています。例えば、1988年のポルトガルの21TWhの発電量の内、水力発電が58%を賄いました。
残念なことにポルトガルの電力消費量は1988年から倍増し、年間で50TWh以上になっています。また水力発電による貢献は大きく変動しており、1992年の干ばつの年には5TWhの低さまで落ちています。
私がポルトガルに関して前回レポートした2013年以降、発電量に占める新しい再生可能エネルギーの割合は増え続けてきました。これにより、化石燃料による火力発電が絞られていったことは想像に難くありません。
2015年のような恵まれた年は、ポルトガルの再生可能エネルギーによる発電のほとんどが水力(小規模・大規模のダム両方)、風力、バイオマスによって構成されています。
重要なことは、太陽光発電はポルトガルの電力のほんの数パーセントしか占めていないことです。APRENの総発電量のグラフによると、2015年に大規模な水力発電所は10TWhを少し上回り、おそらく13TWh程度の電力を作り出しています。
50TWhを多少上回るポルトガルの年間需要に対し、大規模水力発電と再生可能エネルギーは合わせて約30TWhの貢献をしており、これは2015年の総消費電力量の55%を供給しています。
元記事:Wind-Works.org 許諾のもとにRenewables International転載 “Four days of 100% renewable electricity in Portugal: impressive?”(2016年5月19日)ISEPによる翻訳