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米国は再生可能エネルギーの割合をほぼ4倍にすることができるだろう

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の国別レポートは、2010年に7.5%だった米国の再生可能エネルギー割合(電力だけではありません!)が2030年までに27%まで増加するとしています – そして、それは現状の延長線上の10%よりもはるかに増えるということです。

IRENAは昨年、2030年に向けた再生可能エネルギーのロードマップ「REmap2030」を発表しました(こちらでも触れています)。そして現在、同機関は国別レポートに焦点をあてています。ウェブサイトを見ておわかりのように(下の方へスクロールすると国別ロードマップがあります)。その内、中国版は、IRENAのホスト国であるアラブ首長国連邦の調査と共にすでに発表されています。

米国に関する調査は2番目に発表されました。その中で、米国は、中国に次ぐ第2の再生可能エネルギー市場になり得ると主張しています。そのポテンシャルは、公式予測をはるかに上回っています。IRENAの調査は加盟国の提供するデータに基づいていますので、再生可能エネルギーについてのシナリオ以外にも面白い部分があります。参考シナリオ(現状の延長)は、現在の公式予測の下で私たちが現在どこにいて、この先どこに向かっていくのか、優れたスナップショットを提供しています。

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ここでは主に木質バイオマスの割合が増えることが見込まれており、風力、太陽光は不思議なことに実質的な横倍が続くようです。ここで私たちはIRENAの作った奇妙な予測を論じるつもりはないのですが、しかし結局のところ、米国エネルギー情報局(EIA, Energy Information Administration)の基本データがどれほど非現実的であるかを外交的に示しているように見えます − 米国の風力、太陽光の市場が今後15年間で大幅に伸びないと信じる人がどれだけいるでしょうか?(EIAの予測についてのやや社交辞令を欠いた評価はこちら)[情報追加: CleanTechnicaのこちらの記事の方が断然よいといえます]

日本や中国と同様、下記の調査で示された私のお気に入りのグラフが示すように、米国でも太陽光と風力はより急速に拡大する可能性があります。興味深いことに、ドイツはすでに風力、太陽光のポテンシャルをほぼ開発し尽くしているようであり、そのポテンシャルの絶対値は他の3か国と比べると驚くほど小さいのです。(とりわけ日本は風力の開発が著しく少ないので、かなり大きなポテンシャルがあります − 日本のレポートが待ち遠しい!)

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IRENAの他の調査と同じく、このレポートもたくさんの興味深い情報を与えてくれます。実際、私自身が再生可能エネルギー分野で働いていて、なにかとデータに馴染んでいるからでしょうか、特にシェールガスブームに関する説明に興味を惹かれました。「米国が燃料エタノールの世界最大生産国であり、2003年の世界生産量の57%を占めている」ことをご存じでしたか?

IRENAスタッフの1人が教えてくれましたが、アラブ首長国連邦に加えてインド、メキシコの国別レポートも作成中であり、その他の国々も後に続くということですので、今後も注目しましょう。

クレイグ・モリス@PPchef

元記事:Renewables International, US could nearly quadruple share of renewables(2015年1月16日)ISEPによる翻訳

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