出典:DLR / IER. 赤い線が「安全な設備容量(secure capacity)」を、黒い点線が需要を表しています。

緑の大臣が「ドイツが停電する」と警鐘を鳴らす

バーデン=ビュルテンブルク州の緑の環境大臣は「2010年代の終わりごろまでにドイツの発電設備容量が不足するかもしれない」という調査報告を受けました。

1970年代に、バーデン=ビュルテンブルク州の首都シュツットガルトで、もしヴィール(Wyhl)に原子力発電所が建設されなければ「停電になってしまう」と州知事のハンス・フィルビンガー氏が訴えてから長い時間が経っています。(実際に原発は建設されず、停電にもなりませんでした。)シュツットガルトでは、いまや緑の党が政権をもつようになったにもかかわらず、いまだに私たちは「停電になってしまう」という言葉を耳にします。

昨日、私はドイツ語のこの調査について触れることを約束しました。その調査は「ドイツと近隣欧州諸国の状況を踏まえた2025年までの南ドイツにおける発電設備開発に関する簡易調査」という題名で、以前発表された「Energiewendeロードマップ(リード調査)」に続いてドイツ航空宇宙センター(DLR)と、シュツットガルトの研究所IERによっておこなわれました。この調査は非常に質の高いものです。しかし、ドイツ人にユーモアのセンスがないとすれば、17ページのペーパーの表紙には「要旨」という言葉が載っていて、簡易調査の要旨になっています。(誰か、ドイツ人にいつも徹底的にやる必要はないですよ、と言ってあげるべきですね。)

この調査には、楽観/悲観の2つのシナリオがあります。今後の設備市場(capacity market)の議論にとっても興味深いことに、2つのシナリオの「積極的に稼働する予備容量(positive operating reserves)」の違いは極小さなものとなっています – 楽観シナリオで5GW、悲観シナリオで5.3GW。楽観シナリオでは、年間需要を1.25%低く見積もり、予定通りに系統増強が進み、平均的な気象条件を想定しています。悲観シナリオでは、電力需要は安定して推移し、系統増強が遅れ、あまりよくない気象条件を想定しています。

また、この調査では南ドイツ単独での状況と、ドイツ全国の状況の両方を調べています。手短に、ここではドイツ全国についての知見に焦点を絞りましょう。南部については、数年前に予期されていた問題から緊張をともなう状況である、と言うに留めておきましょう。

これが主なグラフです:

ドイツ全国についての結果

出典:DLR / IER. 赤い線が「安全な設備容量(secure capacity)」を、黒い点線が需要を表しています。
出典:DLR / IER. 赤い線が「安全な設備容量(secure capacity)」を、黒い点線が需要を表しています。

最初に私が不思議に思った点は、「安全な設備容量」(私が調整可能電源と呼んでいるもの、下記を参照)という線が、化石燃料と原子力の設備容量をあわせたものを下回っていることです。実際に、その線は2018年まで原子力の部分の下にあるようで、しかしながら、原子力は「安全な設備容量」に含まれていません。ペーパーは、ドイツの4つの送電系統運営者が経済省に向けて発表したこのPDF(ドイツ語)に立ち戻って参照していて、その2.1で、安全な設備容量とは「現実に系統に送ることができる電力に相当するものです。このレベルを決めるには、調達可能でないさまざまな電源は導入されている設備容量から差し引かれる必要があります。」となっています。さまざまな電源、素晴らしい。

PDFの最下部のグラフは数字の意味を表しています。例えば、2012年にドイツは160GWの「系統への正味の電力出力」をもっていると考えられていて、そのうちの60GWは自然エネルギーでした。もし、約5GWのバイオマスを取り除くとすると、残りは調整不可能な55GWの太陽光と風力が残ります。調整可能電源は、160 – 55 = 105GWとなります。

しかし、その自然エネルギー設備容量のすべてが100%調整不可能というわけではありません。例えば、流れ込み式の水力発電は25%調整可能と数えられます。少し省略すると、系統運営者は、調整可能電源105GWのうちの97.6GWは「調達可能」と見積もっています。

いまや、差し引き4.7GWはアンシラリーサービス用であって、92.9GWの「安全な設備容量」が残りました。この設備容量は約80GWのピーク需要に対応することとなり、約15%の揺れ動く余地が残ります – したがって、ピーク需要を超過するのに必要な調整可能電源は少なくとも10%まで、と私は概算を出しています。

シュツットガルトからのグラフに戻ると、安全な設備容量の赤い線は楽観シナリオで2022年までに、悲観シナリオでは2018年までに需要の黒い点線を下回ります。そして、もうひとつのグラフは、隣国がドイツを助けることができないことを表していることを表しています – 楽観シナリオで2022年、悲観シナリオでは2017年に安全な設備容量の不足が発生すると。

 ドイツと隣国の結果

出典:DLR / IER
出典:DLR / IER

私たちにこういったものをつくるようにさせているのは何か?

1970年代のフィルビンガーによる停電の警鐘とともに、シュツットガルトが私の第一印象として浮かびました。この調査は入手可能なしっかりとしたデータにもとづいています。私にはこの「簡易調査の要旨」を正す余地はないのですが、私が予期するものと一致しています。より重要なのは、これがBDEWのような組織、つまりドイツの電力会社のためのロビー団体、が言っている内容と一致していることです。BDEWが出している内容のアゴラ版が EnergyTransition.de にあります。

ドイツは「冬のギャップ」を埋めるために設備市場が必要なのか?

出典:EnergyTransition.de

第二に、シュツットガルトの緑の党は潜在的な障害が発生するのを防ぐためにそれを指摘しているという印象を受けました。今日の論調は、「停電になってしまう」と言っていた1970年代当時のものとは著しく異なります。現在、ドイツの人たちは、どの発電所を停止することができて、どのような規模の設備市場が必要なのか、そして、電力を絶やさないために特に何が必要なのかを議論しています。

言い換えると、シュツットガルトはいまや「停電になってしまうかもしれない、しかし、停電にならないように、より詳細に見る必要がある」と言っているのです。

クレイグ・モリス@PPchef

元記事:Renewables International, Green minister warns “lights out in Germany”(2014年10月7日掲載)著者許諾のもとISEPによる翻訳

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