再生可能エネルギーがドイツの電力系統を不安定にするという話はもう終わりにしましょう:2015年8月20日、ドイツの連邦ネットワーク規制庁は停電時間が史上最低まで減少したことを示す2014年のSAIDI(system average interruption duration index/系統の平均供給不能持続時間)の値を発表しました。
ドイツでの停電時間を計るのは難しくなってきています。さらに、その値をこれ以上向上させるのも難しくなってきています。
つい2006年までドイツではSAIDI測定基準(ドイツ語レポート)で21.53分の停電がありました。ネットワーク規制庁 (ドイツ語ウェブサイト)の正式な統計によると、その数値は昨年の時点で今や12.28分にまで減っています。
ドイツの電力系統がどれぐらい安定しているかを理解するために、ある国際比較を見てみましょう。
上図を見ると、ドイツとデンマークの電力系統はヨーロッパ内で群を抜いてもっとも安定していることが分かります。さらに、ドイツでは風力と太陽光を合わせておよそ17%ですが、デンマークには40%の風力発電があります。この2つのエネルギー源の比率は系統での事象ではなく天気に対して反応します:どちらも急な対応ができず、それゆえ系統の安定性にとって危険であると一般的には(少なくともエネルギー転換に批判的な人たちの間では)考えられています。
イタリアにもドイツとほぼ同量の風力と太陽光があり、その電力系統の性能は2006年から改善しています。同様に、スペインでは風力と太陽光を合わせると最大の電力源となり、そのSAIDI値は大幅に改善しています(ただしこのデータは2006~2011年のみであることに注意(CEERレポート))。
しかし、相互関係が因果関係になるのではありません。これらの国々は停電時間が短いだけで、太陽光と風力に理由があるわけではないのです。 むしろ、CEERによる2013年の報告書で説明されているように、他の改善策、具体的には架空線ではなく地下ケーブルが系統に利用されたのです。
したがって、太陽光と風力が停電時間の短縮の理由とはなりませんが、明らかに変動性の高い再生可能エネルギーでも非常に低いSAIDI値が可能なのです。
ただし、SAIDIは自然災害を含んでいないため、その値には暴風雨による停電は含まれていない点に留意してください。同様に、停電は最低でも3分間続いている必要があり、その基準の測定方法が批判されています。やはり3分以下の停電でも生産部門にとってはきわめて破壊的になりうるのです。
元記事:Renewables International “German grid keeps getting more reliable”(2015年8月21日)ISEPによる翻訳