2014年10月の数値が発表され、太陽光発電設備の導入量は75MWに下落しました。これは、2009年3月以降の月間最小導入量であり、そのとき以来、はじめてドイツ国内で月間100MWを下回りました。しかし、もう一つのポジティブな閾値も崩れました。
今週、ドイツのネットワーク庁(Network Agency)は新しい太陽光発電設備の導入数値を更新、発表しましたが(ドイツ語)、その市場は縮小し続けています。10月の数値はわずか75.4MWで、ドイツ国内ではこの1年間で1.7GWの設置しかありませんでした。そのため、2014年は2ギガワットの閾値を逃すことになりそうです。この国では、太陽光発電導入量の目標値を年間2.5~3.5GWと定めていることを念頭においてください。
8月、再生可能エネルギー法(EEG)の改正が施行され市場が急激に縮小し始めました。現在、固定価格買取制度では、大規模太陽光発電設備(10MWまで)に対して9ユーロセント、10kW以下の家庭用太陽光発電設備に対して13ユーロセントの範囲にある一方で、小売価格は29ユーロセントとなっています。このウェブサイトは「グリッドパリティ(grid parity)」– 家庭用太陽光発電のコストが家庭用電力価格と同等になるポイント(ソケットパリティ(socket parity)とも呼ばれる)– を主張した記事の連載と共に開設されましたが、それは大げさに伝えてしまったところがあり、実際にはたいして大きな意味をもつことにはなりませんでした。それでもドイツではこの分析が正しかったことが証明され続けています。2010年に、私はこれについて「市場が操作され、太陽光、風力が締め出されない」ように保証するなんらかの方策をとるべきであると、明確に警鐘を鳴らしました(例えば、消費電力に直接、再生可能エネルギー賦課金を適用するといった方策)。
下記のグラフでBernard Chabotが表しているように(分析の全文はこちら)、10月はこの5年半で初めて1ヶ月以内の設置が100MWを下回りました。なぜそうなったのでしょうか?
2009年1月から2013年12月までのドイツの太陽光発電月間導入量
太陽光発電と蓄電池を組み合わせたものが計算を複雑にさせていることもあって、消費者はみずからの投資の元がとれるかどうか判断がつかなくなっているかもしれません。なにより、初期投資額が大きくなればなるほど、より高い売電価格がつくだろうと人々に単純に考えさせているところがあります。
まず、10kW以上のすべての太陽光発電設備は消費電力に直接、再生可能エネルギー賦課金の40パーセントを支払わなければなりません。これにキロワット時あたり約2ユーロセントがシステムに追加されます。今年のはじめにChabotが現状を提示しました(PDF)。下記のグラフでは2014年の最初の4ヶ月に導入されたすべての設備容量のうち、大規模システムが3分の2を占めていることを見ることができます。これは、大規模設備の10%が、新規導入設備の71.5%を占めていることを意味します。
デシル*あたりの発電設備容量割合
同調査からの2つ目のグラフは、2012年から2014年(4月まで)の緩やかな移行を示しています。ここでは10kW以下の設備の割合が年々拡大していることがわかる一方で、10MW以上の設備はすっかり姿を消しました。
太陽光発電年間導入量の規模別割合
言い換えると、ドイツの太陽光発電市場は家庭用太陽光発電へと移り変わりつつあります。これまで家庭用太陽光発電が市場の割合を大きく占めることはまったくありませんでした。それらの件数は多いものの、累積出力は控えめなままです。2012年以降、ドイツの太陽光発電政策は大規模システムを抑圧してきました – 初めは10MW以上の商業規模システム、そして8月以降は10kW以上のすべて – そのためシステム件数はわずかに減少しており、新規導入設備容量の数値は急激に下がっています。 誰もがグリッドパリティにお祭り騒ぎになるあまり、小売価格とは関係のない市場の領域を守ることに私たちは失敗してしまいました。
それでも、ここには朗報があります:ドイツは38GWの閾値を超え、現在の太陽光発電設備導入量はいまや38.022GWとなりました。
元記事:Renewables International “Two new milestones for PV in Germany“(2014年12月2日掲載)著者許諾のもとISEPによる翻訳