SMA

事業所太陽光+蓄電池

2015年1月15日

ドイツの太陽光発電インバーター製造業者SMAは、事業所太陽光発電の「自家消費」についての調査をアップデートしました。今回はその概要をお伝えします:もし市場動向の概要を探しているのであれば、それはここにはありません。

先週、私はドイツの「自家消費」政策における住宅用太陽光発電+蓄電池についての最新の知見をまとめました。

これの元となる記事は、ドイツの「自家消費」政策が初期の法的な不確実性を処理した後で本格的に運用をはじめたことから2010年に書かれていました。当時、ドイツの太陽光発電の専門家Heiko Schwarzburger氏による「この政策の主な受益者は家庭ではなく事業所となるだろう」との発言も引用しました。私たちは、Volker Quaschning教授によるグラフから、住宅屋根の太陽光発電(中央の黄色い山)が、住宅の電力消費(下方の灰色のデコボコ)にどれほど重なっていないのかを理解することができます。

Volker Quaschning
Volker Quaschning

SMAが示すところによれば、100〜150kWもしくは300kW程度で相対的に安定した電力需要をもつ事業所にとって、太陽光発電はまったく異なったものに見えます。

SMA
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自家消費するために蓄電しなければならない太陽光発電の電力量は、事業所よりも家庭の方がはるかに大きくなります。ドイツ語が読めなくても、SMAがさまざまな事業所の需要プロファイルの違いを整理したこの記事を見ればわかります。皮肉にも、ドイツにある養豚場と養鶏場の屋根の70%に太陽光発電が導入されているにもかかわらず、これらの事業所は朝と夕方に需要のピークがあり、正午は需要の谷間にあたるため、太陽光発電の自家消費にもっとも相性が悪いように見えます。(SMAドイツ語記事中の「Lastprofile L1」および「Lastprofil L2」を参照)

SMAの記事は、事業所分野での太陽光発電+蓄電池が軌道に乗りはじめているのかどうかを伝えるものではありませんが、いずれにしろ2013年の数値はすでに時代遅れになっているようです。これらの事業所の多くは、キロワット時あたり約24セントの高い小売価格ではなく、12セント程度の事業用価格で電気料金を支払うということを頭に入れておくことが大事です。もし、およそ2セントを再生可能エネルギー賦課金として自家消費分に追加するのであれば、ドイツの事業所分野は蓄電池なしでもグリッドパリティに届いていないのかもしれません。

SMAの記事の最後に載っているグラフも見ておきましょう:6月の晴れた日(左上)と曇りの日(右上)、3月のやや曇りの日(左下)と12月の曇りの日(右下)。それぞれ大きく異なります。

SMA
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クレイグ・モリス@PPchef

元記事:Renewables International, “Commercial PV + storage”(2014年12月16日)ISEPによる翻訳

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